■やさしい手を、もってる

彼氏である慎也のバイクの後ろに乗り、暴走族の集会に夜な夜な顔を出す中学3年の佐近城晴美
慎也は同じ中学の先輩でもあった。
晴美は慎也に「高校なんて行く気ない」と打ち明ける。
慎也は、晴美のクラスメイト・乾にその事を問いただす。その事実を晴美は知る。
晴美は、”自分に高校に行って欲しいのか?”と慎也に尋ねる。
それから数日、晴美に連絡をしてこない慎也。
ある日、乾から、慎也たちの引退集会がある事を知り、慎也から聞かされてないという不安を抱きながらも集会に顔をだす。
晴美の姿をみつけた慎也は、晴美に帰れという。
晴美は今までの不安を全部慎也にぶつける。
後日、慎也は晴美に「もう会いたくない」と一方的に別れを告げて去ってしまう。
慎也に連絡をとりたいと必至になる晴美の姿を見て、乾は言う。
「お前が中途半端なのは自分のせいだと慎也先輩は思ってる。先輩はお前のことが大事なんだよ、先輩の気持ちもわかってやれよ」と。
どうしても納得のいかない晴美だった。
そんなある日、授業中の校内に慎也がやってきた。当時の恩師である教師に伝言を残す慎也。
「オレ仕事決めたから、本気でやるから 半年たって自信がついたら会いたい」と・・・。
季節が過ぎ、ある日の晴美は自動車整備所で働く慎也のもとへやってきた。
高校に合格した事を報告に来たのだ。
久しぶりに会う晴美に、慎也は笑顔でそっと手を差し伸べた。   -終-