■ホットロード

中学2年のある日のこと、宮市和希は万引きで補導された。それはママの誕生日だった。
和希には父親がいない。自分が2歳の時に亡くなったという。
学校では変わり者のように見られていた横浜からの転校生・絵里に誘われ、
夜の湘南で“ナイツ”という暴走族の春山洋志と出会うが、
最初の出会いは散々だった。
数日後、美穂子と別れた春山は、和希に“オレの女にならない?”と言う。
和希は夜の湘南・春山が身を置く暴走族という世界の居心地のよさに引き寄せられ、
いつしか自然と身を置いていくのだった。

ある日のこと、放課後に江ノ島を歩いていた絵里と和希は、見知らぬ大学生グループにナンパされ、
軽い気持ちで車に乗り込む。陽がくれた時、グループの態度が急変し、いきなり乱暴されそうになるが、
間一髪の所で春山に助けられる。

周囲から春山が過去につきあっていた美穂子の事を聞く和希。
また、ママは、妻子ある男性とのつきあいに夢中で自分に無関心である事と感じ、
複雑な想いを抱えた和希は自分を痛めつけるように髪を脱色し、校内では先輩に水をかけられ風邪をひいてしまう。
春山は和希を自分の実家へ連れて行き、母親に看病を託すのだった。
春山の母親の暖かさを感じ帰宅するが、自分の母親が自分に無関心でいる寂しさを感じ、和希は家出してしまう。
和希はナイツの中でますます行動がエスカレートしていった。
そんな和希を見るに見かね、春山は和希をトオルの家にいる宏子に託すのだった。
一方、春山は、トオルの推薦でナイツの次期リーダーなった。
その頃、新宿の暴走族”漠統”がナイツをつぶそうと湘南に乗り込む。
仲間の心配をよそに、たった一人で漠統の挑発にのる春山。
トオルさんが警察に逮捕され、和希は春山のアパートに一緒に住むことになった。
いつしか春山に夢中になっていた和希は、自らの身体を大切にして欲しいと
春山に訴える。
暴走族”ナイツ”総長の立場を考えるあまり、和希を悲しませてしまう春山。
自分についてこれないなら別れろと、春山は和希のもとから去ってしまった。

だが、和希が春山を愛しているように、春山にとっても和希は大切な存在だった。
再び春山の側にいるようになった和希は、春山と一緒にママの元へ行き、
寂しくてたまらなかった想いをママにぶつける。
だが、ママからは「親が自分の子を嫌いなわけがない」と言い返される。
和希は春山のアパートを出て自分の家に戻った。

そんなある日、新宿の暴走族”漠統”との対決の場へ向かう春山は、
大型トラックと衝突し、意識不明の重体となってしまった。
“春山が死ぬなら私も死ぬ”と、食べ物も口にせず衰弱していく和希。
だが春山は、“和希の為に生きたい”と意識をとりもどすのだった。
リハビリを重ね、鑑別所を出るも半身麻痺の後遺症が残る春山。
一方、高校生になった和希。
風の噂でナイツに勢いがなくなり、消えるのではという声を耳にした。
春山洋志、18才。宮市和希、17才。
悲しみや痛み、数々の想いを経て、これからも歩き続ける二人だった。     -終-