■純-jun-

中学3年の初日、学年のナンバー2といわれている新藤正幸は、
ケンカっぱやい浜の人間と言われ一目置かれている高橋厚保と同じクラスでしかも隣の席になる。
最初は敵対意識むき出しの正幸だったが、ふとしたきっかけで厚保と仲良くなる。
学年の番長・道間を小学校時代に一発で倒した事のある厚保は、
その日の放課後、道間に呼び出される。
道間のグループにいた正幸は、道間に「厚保はいい奴かもしれない」と言い残してその場を厚保と去り、
放課後、厚保は正幸を自宅に誘い、二人はますます仲良くなった。
厚保は一学年上の優佳先輩たち浜の友達とたびたび遊ぶ姿が目撃されている事もあってか、
何人も女がいるという噂もあった。
クラスには厚保と同じ小学校だった成田と、成田の友達・宮本純がいた。
正幸は、この二人と仲良くなりたいと厚保に言う。
二人の話をした時の様子が気になった正幸は、厚保に問い掛ける。
厚保は、入学した時から宮本純が気になっていた事を、正幸に白状した。
放課後、純と一緒に下校する厚保。
厚保は純に、「俺、いっぱいいるなんて嘘だから」と純に言う。
ある日のこと、最近遊びに来ない事を心配した優佳先輩が、中学校に来て正幸に声をかける。
そこで優佳は正幸に「厚保は寂しがりやだから、うちにも夜中来るときがあってそんな時は朝まで一緒に寝るんだ」というと、
偶然その会話を離れた場所から厚保が耳にする。振り返ると、純もその会話を聞いていた。
厚保は、純の見ている前で優佳のバイクに乗りその場を去ってしまう。
その日以来、厚保の純に対する態度がよそよそしくなる。
そんな最中、純の母親が、父親の浮気が原因のノイローゼで自殺未遂を起こし、病院に運ばれる。
たまらなくなった純は、電話で厚保を呼び出した。
その頃、暴風で厚保の父親の舟の船体に穴が空き使い物にならなくなってしまった。
そんなことが起こっているとも知らずに厚保は、純を原チャリに乗せ、あてもなく遠くへ走らせた。
その場面を目撃した近所の人が学校に通報し、
厚保と純がつきあっている事・純の母親が自殺未遂したという話が学校中に広まってしまう。
純は先生の前で、「高橋君とはもう二人きりで会いません」と言ってしまい、それが厚保の耳にも入ってしまう。
厚保は、自分たち浜の人間と、高校を目指す純とは世界が違うと感じ、正行にもう純を追っかけないと言う。
その頃、純は親戚に、離婚が決まったらお母さんと二人で親戚の近くへ越すように薦められる。
卒業式間近、厚保は、純が違う県へ越す事を知る。
卒業式の後、「お母さんのそばにいてあげたい」という純に、厚保はひとこと「行くなよ」と言った。
月日がたち、高校生になった正幸と道間は、漁港で父親の手伝いをする厚保に会いに行く。
厚保は正幸とは違う、寮のある水産高校へ行く事になった。(※←管理人の推測)
あれから純とはどうなったと尋ねると、笑顔で「いわない」と返す厚保。
厚保と純、別々の土地でそれぞれの道を歩いていく二人。
笑顔で父親の舟に乗り込み、正幸たちに手をふる厚保だった。   -終-