■湘子


和実くんに失恋したあの日から既に半年がたっていた。
そんな中、突然湘子の前に姿をあらわした矢木君は、一学年下の2年生。
湘子たちの卒業ライブのドラムを、湘子は矢木と一緒に組むことになった。
矢木君が軽音部にはいってから、部内はまた一段と騒がしくなり
湘子にとってもいい仲間ができたと思っていた。
そんな中、矢木が気になる一言を口にしたため、湘子は思わず矢木を意識するようになる。
友達にも言われてしまう。「矢木は本気だ、お前も気付いているだろう?」と。
やさしい矢木だったが、湘子は和実との一件以来、年下には抵抗があった。
たまたま矢木と二人になった時、過去のその感情を思わず矢木にうちあける。
「オレは先輩とやっていく自信がある」と正面から湘子に気持ちをぶつける矢木だった。
湘子は心ぼそげに「自信がない」と一言いった。
ある時矢木が交通事故を起こし、卒業ライブに参加できないことを知る湘子。
矢木のいない卒業ライブがはじまった。
矢木への苦しい思いをつのらせながらドラムを叩く湘子。
つらくて苦しい気持ちがはちきれそうになった時、ステージに矢木の姿が。
卒業式当日、和実との思い出から卒業できた湘子は、
送り出す矢木に「ふたりでがんばりましょう」という伝言を残すのだった。  -終-