■横浜・14才・由子

中学2年の由子は、ある日街でテキ屋のおにいさん”たけし”に一目惚れ。
由子は毎日のように店に顔を出すが自分に興味を示さない硬派な渋さにますます惚れこむ。
そんなある日、男の前に兄貴分の男性が現れ、由子はテキ屋のたけしさんが、
コックになりたがっている事を知る。
さらに子供までいる事実まで知ってしまう。
若くてガキがいるなんて渋すぎると、ショックどころかますますファンになる由子。
ある日由子は学校のトイレにいると、自分を「髪が茶色い生意気だ」としめた3年に気付き個室に隠れる。
3年の先輩達は、トイレに書いてある落書きについて会話をしていた。
聞こえてくる会話から、どうやら過去に中3で子供を堕ろした人のラクガキの話をしているらしい。
それを耳にした由子は、”たけしさんの奥さんみたいに産んだらよかったのに”と思うのだった。
いつものように街に出る由子だったが、今日は何故かいつもの場所にたけしさんの店がなかった。
いやな胸騒ぎを感じる由子は近所を探す。すると兄貴分の男に殴られうずくまるたけしの姿を見つける。
たけしは、コックになる夢を捨てれずに、テキ屋をやめたのだ。
そんなたけしは由子に、自分の子供は生まれる前に亡くなっている事実を告げた。
由子の前で、当時の彼女”ちはる”さんを想い、泣きうずくまるたけし。
以来、由子の前にたけしが姿を見せる事はなくなった。
そんなある日、由子は学校のトイレに以前から書いてあった例のラクガキを目にする。
「たけしごめんね  ちはる」
由子はそのメッセージが誰のものか気付くのだった。   -終-