■あの人の車で・・・

菜生の彼、は最近免許を取ったばかり。
夢の助手席に胸ふくらます菜生だったが、つきあいはじめて4ヶ月の菜生は、
仲間の中で楽しそうにしている拓を見ていると、自分に興味が無いのではと
寂しい気持ちになる菜生だった。
その仲間の中には何故か入りにくい空気を感じる菜生。
そんな中、菜生は、拓が昔の彼女である久木さんと会話をしているのを
目にしてしまう。その会話の中から二人が自動車教習所で偶然再会していた事実を知った。
そして拓たち仲間のたまり場に行った菜生は、
仲間たちに大歓迎されている久木さんの姿を目にする。
拓と久木さんのいた場所だからなおさら自分が入れない場所なんだと実感する菜生。
いまだに拓の心には久木さんの存在が大きいのではと無性に寂しくなる。
だけど変わらず自分にやさしく接してくれる拓に、不安も軽くなるのだった。
拓の家に呼ばれた菜生は、拓の家の玄関まで来て、
拓が電話で誰かと話しているのを偶然目撃してしまう。内容から相手が久木さんである事は間違いないと悟った菜生は、
拓の手をふりほどきその場から逃げるように走り去った。
あくる日、「菜生を大切に想いはじめているよ」と言う拓に、菜生は
「本当に好きな人のところへ行って」と本心ではない事を口にしてしまう。
しばらく連絡をとらなくなったある日、菜生は以前、拓と見た黄色いヨットが見えるヨットハーバーにいた。
すると拓がやってきたのだ。
「いちばんいきたかった所に来たよ」と菜生を抱きしめる拓。
気がつくと、拓たち仲間のたまり場に自然に顔を出せる菜生の姿がそこにあった。
拓の車で今日もふたりは思い出の場所へ・・・。   -終-