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2002年7月下旬にオープンから2ヶ月が過ぎた頃の9月21日、 惜しまれつつ突然の閉鎖に至った紡木ファンサイトがあります。 まさるさんが作った【TRESURE】です。 その管理人・まさるさんがあるサイトから許可を得て掲載していた文章を、 『ホットロードを読み直す』(抜粋)」というタイトルでアップしていましたが、 この文章を残していきたいとのまさるさんの意向を受け、 当サイトでこれを残していくこととしました。 ある人の、「ホットロード」に対する想いが綴られています。(抜粋元サイトの承認済) 髪を金髪に染め、 親や教師に反発し、 好きになった人と一緒に生きるのが不良ならば、 一度は不良になりたかった。 「いい子」という高校進学の優待券を手放す勇気がなくて、 十代の気だるい時間をただやり過ごしていたあの頃。 例の神戸連続殺人事件の犯人が14歳の少年だとわかった時、 世間は驚いた。私も驚いた。 実は、私はその一報を友人からの電話で知った。 緊急記者会見が開かれ、テレビに特報が流れた時、 私は大学時代の友人達と飲んでいた。 騒がしい場で、彼女の声は聞き取りづらかったが、内容はわかった。 電話を切った後、その場にいた連中にその旨報告してやると、 皆一様に驚いていた。 その後の話題はやはり「14歳」という少年の年齢に終始し、 だからといって何の意見が出るわけでもなかったが、 その時、誰かがこう言ったのだ。 「ねぇ、14歳の時、何してた?」 14歳の時私は、朝起きて学校へ行くということを繰り返していた。 都内とはいえ片田舎にあった私の中学校は、どちらかというとのんびりしていたが、校則だけは厳しかった。 服装検査や持ち物検査はしょっちゅうあったし、体罰だってめずらしくなかった。 私も何回か頬をひっぱたかれた事がある。それでも私は「優等生」な方だった。 そんな「優等生」とは対照的に「不良」と呼ばれる子達もいた。 私は「不良」の子達の中に、小学校からの古い付き合いの奴らが何人もいたので、 別に彼らを恐いとも思わなければ、特別な存在だとも考えなかった。 だからある日突然、職員室の前の廊下で、生活指導の先生に呼び止められ、 そいつらとはあまり仲良くしないようにと「忠告」を受けたときは呆然としたのだ。 私に悪い影響を与えるからというその「忠告」を受けながら、吐き気がした。 そうか、この人は馬鹿なんだなと思った。 だって、彼らが私に何の悪影響を及ぼすというのか。 友達なのに。そんなことも判断してもらえないのか。 こんな色眼鏡で人を判断する人に生活を指導されてるのかと思うと嫌になった。 友達のいる「学校」は嫌いではなかったが、先生のいる「学校」は大嫌いだった。 だからといって学校へ行かなくなるわけでもなく、かったるいなあと思いつつ、 朝起きて、学校へ行くことを繰り返していた。それが私の14歳だった。 今思えば随分と甘ったれた考えである。なんせバリバリの反抗期である。 世の中が嫌い、学校が嫌い、大人が嫌い、先生が嫌い。 それでも私には学校へ行かないとか、校舎の窓ガラスを割りまくるとか、 そんな選択肢は考えられなかった。 怒られるのが怖いというよりは、はみ出すのが怖かったのかもしれない。 だからこそ、我が道を行っているかのような「不良」の子達が、 私は決して嫌いではなかった。 「ホットロード」を読み返すと、中学の時のことを思い出す。 それは「不良」と呼ばれていたあの子達のことであったり、 ため息つきながら学校へ通っていた私のことであったりするのだが。 雑誌連載が始まった当時、私は主人公の少女よりひとつ上の15歳だった。 作品の中で14歳の少女は親や先生や学校に苛立ち、傷つき、泣いていた。 居場所を求めて苦しんでいるように私には思えた。 どんなに斜に構えて偉そうに大人を見下したつもりでも、 居場所が欲しくて苦しんでいるのは自分だけではないんだという事実は、私を慰めてくれた。 「ホットロード」のマネをして、腕に安全ピンで好きな子の名前を彫っていた子がいた。 男物の香水をつけている子もいた。ハルヤマが事故った時は、真剣に皆で心配をした。 15歳の私達はそれでシアワセだった。 誰も教えてくれなかった事を、先生達がくだらないと言い続けたマンガの中から、私達はたくさん学んだ。 私は時折「ホットロード」を読み返しては、宝箱の中を探す子供のような真似をしている。 この箱の中には「中学生」が詰まっているのだ。記憶なんかよりずっと鮮明にあの頃の気持ちが残っている。 ねぇ、14歳の時、何してた? 私はいろんな思いを抱えて、学校へ行ってた。 あなたは、何をしてた? 記憶が薄れ始めていたとしても大丈夫。忘れた何かはここにあるかもしれない。 |
この文章は、まさるさんが匿名サイトから
許可を得ているものを譲り受け
掲載しているものです。
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