<< back

column-6.(page 3/4)




 (つづき)

■4・聖千秋+紡木たく=?
 

12月19日 in郡山。
何もいえない。もう、何もいえない。
苦しいくらい、苦しいくらいです。
陽気なサンタさんへ。
私はあなたにどんなX'masプレゼントを贈れるでしょう・・・
ひじりのもみよ 



1985年12月19日、郡山で紡木さんに何があったのでしょうか。
私はその理由を見つける手がかりを最後の1行にたくし、
あてずっぽな勘のみで「聖千秋」さんのファンサイトにコンタクトを試みることにしました―――。
(前ページ参照)



聖千秋さんのファンサイト「ひじりまにあ」の管理人、koguwaさんから返事が来たのは、
メールを送って2日後の夜でした。
私の不安をよそに、管理人koguwaさんはとても親切なかたで、丁寧な返答を送ってくれました。
そして、そこには期待以上の結果が待っていました。

たしかに別冊マーガレットの1986年2月号で、聖千秋さんは「きょうの彼女は綺麗です」
という連載モノの第3回を掲載していました。

そしてその中には、私がわからなかったすべての答えが記されていたのです。

紡木さんと同様、漫画の中にそれはローマ字コメントとして書かれていました。

      
拡大
   
参考資料:「きょうの彼女は綺麗です」
©聖千秋/集英社
参考資料の掲載はshun個人の意向で掲載しております。
「ひじりまにあ」とは関係ありません。
なにかあればshunまでご指摘願います。


日本語に変換すると・・・

愛してるって言ったら
すごく照れて笑うんだ
あんな尾崎 初めて見た
12/15 平市民会館
紡木と見てしまった

紡木のところも見てね



尾崎―――。ほかでもない、尾崎豊さんのことです。
そうです。
聖さんは12月15日に平市民会館で、尾崎豊のコンサートを「紡木と見てしまった」のです。

平市民会館とは正式名称、「いわき市平市民会館」のことです。
それはまぎれもなく紡木さんのコメントに書いてある「郡山(こおりやま)」と同じ、福島県でした。
ですが、紡木さんのコメントとは、日付が違いました。
しかもいわき市と郡山は離れた場所にあります。
ここで改めて紡木さんのほうのコメントを見てみます。


12月19日 in郡山(こおりやま)。
何もいえない。もう、何もいえない。
苦しいくらい、苦しいくらいです。
陽気なサンタさんへ。
私はあなたにどんなX'masプレゼントを贈れるでしょう・・・
ひじりのもみよ 


紡木さんのほうは 「12月19日 in 郡山」 。
聖千秋さんのほうは、 「12月15日 平市民会館」 。
まず、日付が違います。そして郡山市といわき市は同じ県内ですが決してご近所というわけではありません。



だが、この疑問はすぐに解明されました。
”ひじりまにあ”のkoguwaさんが調べてくださったその内容は驚くものでした。



■5・尾崎豊 in 福島

尾崎豊さんはその年、勢力的にツアーで全国をまわっていました。
そして冬、" Last Teenage Appearance tour "と題したそのツアー日程には―――。

・12月15日 いわき市平市民会館
・12月19日 郡山市民文化センター


そうです。聖さんと紡木さんのそれぞれのコメントと一致していたのです。
聖さんと紡木さんは、1985年のクリスマス前、尾崎豊のコンサートを
福島県まで見に行っていたのでした。

ただ、聖さんのコメントからは、「12月15日に紡木と一緒に行った」ことが窺い知る事ができますが、、
紡木さんは、「12月19日に聖さんと一緒だった」と書いているわけではありません。
だが、聖さんは東京、紡木さんは神奈川在住という関東圏に住む二人が、
同じ福島県内のコンサートに15日と19日にわざわざ日帰りで行くとは考えにくく、
おそらく宿泊をして、12月15日の4日後、再び尾崎さんのコンサートへ行ったのでしょう。


紡木さんのコメントにある、
「陽気なサンタさんへ。私はあなたにどんなX'masプレゼントを贈れるでしょう・・・」
については調べる事ができませんでした。
おそらく、尾崎豊さんのコンサートの中のMCで尾崎さんが口にした事なのかもしれません。



こうして、私が疑問に思っていた事ははぼ解明し、
紡木さんが重大な事件等に悩み苦しんでいるという事ではないとわかり、少し安心しました。
そのコメントは、尾崎さんのコンサートに行き、そこで感じた事や
尾崎さんへの想いを綴ったものであるのだとわかりました。
そして聖千秋さんとは尾崎豊のコンサートを泊りがけで観に行くほどの友達であることも―――。

偶然かもしれないけれど、この「ホットロード」以降、
紡木さんの作品には「聖」という字を使う人物がたびたび登場しています。
「瞬きもせず」では、「聖(きよし)」というアーティストが登場し、
主人公のかよ子と紺野君は、その聖のコンサートに行っています。
また、「かなしみのまち」では、峰の兄(15歳で亡くなった)名が「聖大(まさひろ)」。
作品中では「聖(まさ)」という愛称で呼ばれているのです。

 
<< もどる | つづく >>
   
<<Column Index

▲top